小説「阿片戦争」

小説「阿片戦争
以前から読みたかった歴史小説阿片戦争」を読んだ。
 
 

阿片戦争(上) 滄海編 (講談社文庫)

阿片戦争(上) 滄海編 (講談社文庫)

著者の陳舜臣が膨大な資料を基に書いた歴史小説のようだ。世界の歴史そして、中国の歴史でも重大な事件であるのにそれ以前に小説化されていないのがふしぎだ。

司馬遼太郎などの歴史小説を読んでいて、幕末日本の政治情勢に少なからぬ影響があったことは知っていた。だが「阿片戦争」について、歴史教科書の数行の説明しか知らなかった。
今回3巻を読んで教科書の説明とは違っていることがわかった。また、当時の清国とイギリスの政治の仕組みや植民地政策も読んでわかった。

3巻の巻末に「解説」はあるが、著者の「あとがき」がないのは意外だった。
小説のための資料をもとに書かれ新書も読んだ。
 

実録アヘン戦争 (1971年) (中公新書)

実録アヘン戦争 (1971年) (中公新書)

こちらは当時の絵や写真などあって、アヘン戦争をさらに知る手がかりになった。
僅差大臣の林則徐の人物がさらにわかって興味深い。

■今回の発見
・当時の清国では江戸時代の「士農工商」のような世襲身分制度はなく、世襲のない「官・民」があった。
・当時の清では、特別な種族以外ならだれでも科挙に合格して官吏になれる道はあった。
・清国軍は戦争に砲齢240年の大砲も使っていた。
・林則徐は敵のイギリスからも尊敬されていた。
・当時のイギリス宰相は実利よりも名誉を優先していた。
・林則徐が広州で集めた海外事情に関する資料を魏源に渡し、それをもとに「海国図志」書いた。これが後に日本にも伝わった。