文庫本「横浜」をつくった男

文庫本「横浜」をつくった男
年末後半から読んでおもしろかった。

「横浜」をつくった男―易聖・高島嘉右衛門の生涯 (光文社文庫)

「横浜」をつくった男―易聖・高島嘉右衛門の生涯 (光文社文庫)

幕末から明治に生きた実業家、そして高島易断の創始者である高島嘉右衛門の生涯を描いた作品だ。現在もJR横浜駅近くにある高島町は、彼の会社の埋立て工事によって作られたので地名に名前が残っている。
高島嘉右衛門には辣腕商人にして予知能力があった。獄中で「易経」を習得し幕末のころ出所した。それから横浜で事業家や易断で活躍する。

横浜は幕末に開港した街なので「日本最初のXXX」という事物がたくさんあるが、そのいくつかを高島嘉右衛門がてがけている。横浜の知られざる歴史の一面を知るにもいい本だ。また日露戦争当時、日本海海戦についも易断で多く的中していたというから驚きだ。

この本は易占に造詣のある小説家高木彬光が1979年にカッパ・ブックス刊、1982年に角川文庫刊の「大預言者の秘密 易聖・高島嘉右衛門の生涯」を改題して再文庫化されたとのことだ。横浜開港150年を記念して刊行されたようだ。