小説「白い航跡」よんだ

小説「白い航跡」よんだ
幕末から大正までの波乱の時代を生きた海軍軍医高木兼寛の伝記小説、

「白い航跡」(上・下) 吉村昭講談社文庫

白い航跡(上) (講談社文庫)

白い航跡(上) (講談社文庫)

を読んだ。おもしろい。
高木兼寛は若くして薩摩藩軍医として戊辰戦争に従軍。維新後、海軍軍医として日本人初の英国医学校へ留学する。
当時は深刻な国民病であったカッケ(死亡者が多い)の食事療法を実践し、海軍でのカッケ患者の激減に成功する。一方の陸軍では膨大なカッケ患者と多くの死者が続いていた。当時、陸軍軍医陣の先方森林太郎(森鴎外)などの論敵と対立し・・・。
この小説は、司馬遼太郎の小説「胡蝶の夢」で描かれた近代日本医学事情の続編として読むのもいいと思った。

兼寛の「カッケ米食説」の論敵である森林太郎は現代でも小説家として有名だが、この小説を読むと陸軍医官としての功罪は大きいと考えざるを得ない。陸軍軍医森林太郎らが陸軍兵士にカッケが万延させ続けた張本人という一面が浮き彫りになる。