文庫本:「ハンバーガーを待つ3分間」の値段

whzat2007-11-16

文庫本:「ハンバーガーを待つ3分間」の値段
糸井重里氏の主催する「ほぼ日刊イトイ新聞」に掲載された斉藤由多加氏の記事を書籍化した本だ。おもしろい。

ハンバーガーを待つ3分間」の値段 斉藤由多加 幻冬舎文庫
http://shuiro.typepad.com/note/2006/01/3.html

著者は、元リクルート社員、マッキントッシュ・フリーク、ゲーム作家、ゲームソフト会社社長・・・という肩書きを持つ多彩な人だ。ゲーム「タワー」や「シーマン」の作者としても有名だ。

著者が日常の生活で出会ったありふれた出来事から、企画やゲーム・ネタを発案する話がいい。街中のどこにでもある看板やポスター、TVコマーシャルなどを題材に、わたしたちが当たり前だと思っている決まり事やしきたりなどに、クリエーター的なセンスでどんどん掘り下げてゆく。そうやって指摘されてよく考えてみると世の中は面白いことが多い。
さらにその事象の面白さのエッセンスを、ゲーム企画に置き換えてクリエートしてしまう著者の手腕もすごい。特にIBM技術者も絶句したシーマンの裏話は圧巻だ。

本中の題材は古いものもあるが、著者の発見や発想の新鮮さはいささかも失われていない。むしろ、もっと早くこの本に出会わなかったのが口惜しい。

この本を書店で買った時、店員さんが「この本読んだけど面白かったです。」と言ってにっこり微笑んだ意味が読んですぐにわかった。


PS.
かなり昔だが、筆者の製作したゲーム「タワー」についてTVインタビュー番組を見たことがある。ゲームを企画するにあたって筆者がエレベーターのしくみを調べるために、実際にエレベーター会社を粘り強く聞いて回って・・・その秘密をつかんだ話は感動物だった。できればこの話も書いてほしかった。