米原万理ワールド

米原万理ワールド
3月ごろに本屋の店頭で米原万理の文庫本に出会った。書棚の著者名あいうえお順分類の「よ」で、(そのころ読んでいた)吉村昭米原万理の本がすぐ近くにあったというまったくの偶然で手に取ったのだった。

ロシアは今日も荒れ模様 (講談社文庫)

ロシアは今日も荒れ模様 (講談社文庫)

米原万理は一線級のロシア語同時通訳者として国際会議や外交の場で活躍された人で、その経験やエピソードを綴ったエッセイを何冊か書いている。同時通訳の舞台裏ばなしもおかしく興味深い。また日常のロシア人の考え方、ロシア文学、言語、芸術・・・について笑える小話を添えて紹介している。
エッセイの書かれた時期がペレストロイカソ連崩壊の激動の時期だったこともあり、当時のロシア国内の混乱の様子や、ゴルバチョフエリツィンの素顔についても興味深く読んだ。
惜しくも米原万理は2006年のガンのため亡くなられた。

米原万理@ウィキペディア
日本人にとってロシアは近くて遠い国だが、ロシアの庶民生活はのんびりしているようだ。とくにウォッカの小咄はロシア人の国民性がわかっておもしろい。また同時通訳者のおしごとを舞台裏からのぞいたエッセイもおもしろおかしい。ロシアについて学ぶべきことがあることを教えてくれる本でもある。