阿片王 満州の夜と霧

阿片王 満州の夜と霧

ゴールデンウィークに読んだ。

「阿片王」佐野真一 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/436903/

戦前の満州政策の暗部にスポットをあてる・・・という冒頭の書き出しに期待したが、「筆者は最後に袋小路にハマッている・・・」というネットの書評は的を得ている。
満州国の阿片を一手に管理した里見甫(はじめ)の生い立ち、人物像追求をテーマにしたいいレポートなのだが、中途半端な終わり方は期待はずれだった。

http://www.amazon.co.jp/%E9%98%BF%E7%89%87%E7%8E%8B-%E6%BA%80%E5%B7%9E%E3%81%AE%E5%A4%9C%E3%81%A8%E9%9C%A7-%E4%BD%90%E9%87%8E-%E7%9C%9E%E4%B8%80/dp/4104369039

http://blog.livedoor.jp/takahashikamekichi/archives/50047955.html

日本の戦前と現代の途切れた時代のナゾを解いてゆくおもしろさはある。当時の関係者へのインタビューや貴重な資料を集めてまとめたパワーはすごい。
しかし残念なことに、最後で「・・・里見の遺体が荼毘に付された時会葬者たちは里見の頭蓋骨が淡いピンク色に染まっていることに気づいた。しかしそれが阿片常習者の特徴だと気づく者はほとんどいなかった。」とさりげなく書いて濁している。会葬者の証言なのか作者の創作なのか明記していないこの重要なくだりは「なんちゃって本」ではないかと最後に筆者に裏切られた気もする。